よみがえる彩色歓喜院聖天堂
第5回 聖天堂の彫刻(3)三聖吸酸
聖天堂の奥殿の南側上部、
この故事のオリジナルは、儒教の
「三聖吸酸」は、寺社建築や屏風絵などの題材として使用されることがあり、日光東照宮における
聖天堂における三聖吸酸の彫刻では、三聖人が前方を向き、共に人差し指を立てながら、酸っぱさを確認するように口を小さく開けています。その表情はとても温和であり、親しみを感じることができます。
また、彩色に目を向けると、孔子の服装や中央の瓶、植物の彫刻などに使われている緑色は孔雀石を原料としており、その色合いからはとても落ち着いた雰囲気が醸し出されています。これらの表情や彩色は、漆塗りされた周囲の木枠の中心に浮き上がり、独特の空間を作り上げています。まさしく、だれが目にしても「美しい」という事実がそこに存在していることが分かります。