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図面でみる聖天堂のみどころ


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こけら葺について
杉の手割板を葺きかさねた屋根。拝殿が完成した宝歴10年(1760)は銅板葺にするまでに至らずこけら葺でおさめられた。19年後の安永8年(1779)に資金が集まりこけら葺の上に野地板を重ね瓦棒銅板葺としたとみられる。
銅板葺の野地は、こけら葺の土居葺であり、その上に銅板を葺くのが正式な仕様であり今回も復原されている。

拝殿正面まわりの装飾

唐破風(正面に付けられた起り屋根)下のおおきな"はめ"彫刻(部材の間にはめ込まれた透かし彫の彫刻板)は「琴棋書画(きんきしょが)」という画題。
古来中国の四芸と呼ばれる「琴」「囲碁」「書」「絵」を題材にしたもの。江戸時代には中国の風流人の技芸を伝える画題としてよく用いられていた。
材料はケヤキ材、表面をよくみると、彩色絵具が部分的に残っている。
緑-緑青(ろくしょう/孔雀石)
青-群青(ぐんじょう/藍銅銀)
赤-朱(しゅ/水銀朱)
天然鉱物を砕いた岩絵具(いわえのぐ)
これを(にかわ)で溶いて塗る。
金箔、黒が見られる。
はめ彫刻下の虹染(こうりょう)という部材には、一木で造り出された見事な植物の浮き彫りが見られる。

奥殿を飾る彫刻A

南面唐破風下のはめ彫刻は「三聖吸酸図(さんせいきゅうさんず)」という画題。
瓶を中心に孔子、釈迦、老子の三聖人が立っている。瓶には酢が入っており、それを指につけてなめている。「すっぱい」と顔をしかめている様子を描いたもので、宗教が異なっても酢がすっぱいという真理は一つという、儒教、仏教、道教の三教一致を意味している画題。細かい置上彩色(おきあげさいしき)がよく残っている。(絵具を盛り上げる技法)

奥殿を飾る彫刻@

西面唐破風下のはめ彫刻は「司馬温公瓶割図(しばおんこうびんわりず)」という画題。
司馬温公は敬称で本名は司馬光という。11世紀の中国北来の学者で政治家。
子供の頃、友人と遊んでいたところ友人が誤って水瓶に落ちて溺れそうになった。その時、司馬光が機転を利かせて水瓶を割り友人を助けた。というエピソードを称した画題である。
同時の画題によく用いられたもので日光東照宮の陽明門にも見られる。
子供達の驚いた様子がいきいきと表現されている。

奥殿軒廻りの彫刻群と漆塗
軒廻りに取り付けられた丸彫(まるぼ)り彫刻が建物を綺麗に飾る。
拝殿や中殿に比べて、より一層装飾の密度を高めている。
部材の地紋彫りは、赤色の弁柄漆。黒漆のほかに、建物に用いるのは珍しい黄漆、青漆(実際は緑)が使われている。絵具を用いた彩色に匹敵するほどのあたかも工芸品のような細やかさで塗られている。