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西別府祭祀遺跡ほか関連遺跡群の出土遺物

西別府祭祀遺跡

石製模造品(注1)

 形状が判別できた石製模造品(滑石製)は、人形3点、馬形27点、櫛形41点、勾玉形40点、有孔円板形102点、有線円板形33点、剣形51点が出土しています。これらは、いずれも湧泉と考えられるくぼ地に堆積した砂層中より出土しており、本遺跡では具体的な祭祀遺構は確認されていません。

 

 

墨書土器

 墨書土器は、土師器・須恵器の坏・椀・皿等に41点確認されています。確認された文字で最も多いのは「大」で、このほか、「加」「西」「文」「甲」、則天文字からつくられた特殊文字などが出土しています。

   

 

 これらの文字は、本遺跡の性格から、吉祥、人名、呪術的な記号などを表現したものと考えられます。

木簡

 櫛引台地崖線下の河川跡より2点出土しており、その内の1点に文字が確認されています。

 一方面に「百 二百 三百 四百(以下欠損)」、もう一方面は、字列が2列であり、向かって左寄りが「大大大大」「□□□□□」(以下欠損)で、下半の判読が難しい文字は、上3文字が忽忽忽(「たちまち」が3文字)と読め、中間に記載された向かって右寄りの字列の文字は、君而(きみしかるに)と読めます。

 筆跡は字列軸にブレが見られることから、文字を書き慣れた人の手によるものではなく、習書と考えられ、台地上に造営された幡羅評家(郡家)の役人の子弟等による手習いと推定されます。

土錘

 土錘は、調査で214点出土しています。土錘は、本来、漁撈に用いられるものですが、石製模造品や墨書土器とともに出土していることから、豊穣・繁栄を祈願して供されたもので、祭祀具の一つと考えられます。

西別府廃寺

 軒丸瓦、軒平瓦、丸瓦、平瓦が多量に出土しています。
 軒丸瓦は、複弁9葉蓮華文、複弁8葉蓮華文、単弁12葉蓮華文、単弁16葉蓮華文、単弁9葉蓮華文、単弁8葉蓮華文が発掘調査により確認されています。単弁12葉蓮華文は、埼玉県児玉郡上里町五明廃寺出土瓦(群馬県伊勢崎市上植木廃寺と太田市寺井廃寺と同笵)に類似しており、西別府廃寺と群馬県(上野国)の寺院との関係を示す資料と考えられます。
軒平瓦は、二重弧文、三重弧文、四重弧文、均正唐草文が発掘調査により確認されています。

 

瓦塔(注2)

 瓦塔は、須恵質のものと、土師質のものが出土しています。部位としては、屋蓋部が最も多く、軸部、相輪部も確認されています。

瓦堂(注3)

 瓦堂は、須恵質のものと、土師質のものが出土しています。部位としてはいずれも屋蓋部で、2層の屋蓋部をもつ瓦堂の下層部分と、入母屋の庇屋根部分の表現したものと推定されています。