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田島一宿(たじまいっしゅく)(1896-1973)

俳人。本名一郎。号は「熊谷草」「桜蓮子」。市内仲町田島旅館に生まれる。家業を継ぐからわら、文芸に興味を持ち、俳句の道に研鑽した。大正11年国民新聞俳壇の虚子選に「麦秋や 電車となりし 秩父線」が選ばれる。大正15年1月、市内石原の「乱雲会」、上之の「若葉会」とともに俳句結社「泉吟社」を創立する。同年2月には、虚子、池内たけしを迎えて、星渓園において泉吟社発会の記念句会を催した。戦後の混乱期には、「熊谷俳人会」を結成し、熊谷市文化連合会の創立に参画した。昭和27年熊谷市文化功労者として市より表彰を受ける。また、熊谷市制20周年記念の熊谷市歌や、市内各校の校歌や各会の会歌等の作詞を行っている。
昭和50年10月有志により「一枚の ハガキの重み 沈丁花」の句碑が、報恩寺境内に建立されている。
・熊谷寺境内の木京庵で詠んだ句。

「ある程の 大樹は椋や 庵涼し」
稲妻や 庵にかぶさる 椋の闇
「涼風や 地に落書きを して遊ぶ」
「庵涼し よその風鈴 よく聞こゆ」
「この庵に 座せば涼しき 主かな」


・荒川土手の風景を詠んだ句

「麦踏や 土手にかくるる 秩父山」

・龍淵寺を詠んだ句
「夏草や 二つの門へ 道二つ」
「帽子から 帽子へとまる トンボ哉」
「河骨の 花ゆらぎ居り 水の中」
「黒板の 法事日記や 菊の寺」


・星渓園で詠んだ句
「林泉に ビール冷やさん はかりごと」
「風蘭の 垂れてめでたき 枯木哉」


・一条院を詠んだ句
「絵襖の ちぐはぐや 涅槃寺」
「どこまでも 畷続きや 御忌日和」


・久下堤を詠んだ句
「歩を返す 吾に叩ける 水鶏哉」

・市田堤を詠んだ句
「二階から 出入る家や 土手の秋」
「萱ゆれて 鷭あらはなる 初日哉」
「鷭のあと 何走らす 初日かな」


・熊谷花火大会を詠んだ句

「眠りたる 萩もありけり 花火待つ」
「しほみたる 扶養の花や 花火待つ」


報恩寺句碑

参考文献

  • ・1982『熊谷人物事典』日下部朝一郎

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