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棚澤慶治(たなざわけいじ)(1898-1996)

歌人・熊谷市議会議員。大正5年俳誌ホトトギス作句発表後短歌に転じ、アララギに作歌を発表し土屋文明(1890-1990:歌人・国文学者)に師事。昭和20年、鹿児島寿蔵(1898-1982:アララギ派歌人・紙塑人形の人間国宝)の市内疎開を契機に「新泉」同人となり、後に「潮汐」に合流する。昭和29年ときわ新聞編集発行人となり、昭和40年歌集「土のにほい」、「わが文学と生活」を出版。
上之地内の上之村神社境内に句碑「産土の 宮の上棟 祝ふとき 棹となり津つ 白鷺渡る」が、昭和56年4月棚澤慶治歌碑建立委員会・ときわ会により建立されている。
・上之村神社の歌碑
「産土の 宮の上棟 祝ふとき 棹となり津つ 白鷺渡る」


上之村神社の歌碑

「掌より 血のにじむまで 供出の 米俵結びて 一と日暮れたり」
「暮れし田に 代掻く牛の あえぐ息 遠くきこえ 来水にひびきて」

・荒川の熊谷堤を詠んだ歌

「荒川の 長き橋来て 晝探し 堤を遠く さくら咲く見ゆ」

「咲き満ちて 風もあらなくに 櫻花 土手すれすれに 揺れている見ゆ」

・成田氏を詠んだ歌

「しらしらと 冬の日させる 枯桑の中に 館の址 ありにけり」

・龍淵寺を詠んだ歌

「珊瑚樹の 冬寒々と 垣なして しおばし日の照る 奥津城ところ」
「春の日の させばあかるき 姿見の 井戸にはかそか 水ありにけり」
「さしのぞく 姿見の井戸 水ありて 自が影うつる したしきろかも」


・河原松山公園を詠んだ歌

「公園の 河原松山 道をきて 心は足らふ 松の日の照り」
「公園の 河原松山 松渡る 風をし欲りて 訪ひ寄りにけり」


・高城神社を詠んだ歌

「神木の 大きな槻の 高うれに 鳴き交ひいるは 群鵜の聲」

・荒川を詠んだ歌

「砂利運ぶ 荒川假橋 わたりをへ 汗あえてひもじく 土手にのぼれり」
「冬減りし 水片寄りの 荒川に 添ふて砂利取る トロの線あり」


・上之村神社を詠んだ歌

「古びたる 堤の松の 松風に 詣る心を ととのへにけり」

・星溪園を詠んだ句

「泉湧く 星溪園に 影引きて ほとりの樹々の 濡れている」

・熊谷寺を詠んだ句

「大寺の 高き甍に 鳥がねの きこゆる庭の 晝はふかけれ」

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