三沢刀泉(みさわとうせん)(1879-1956)
俳人。本名源吉。中条村(現熊谷市)に生まれる。青年時代を成田村役場に勤務し、後、県立熊谷中学校に勤務する。句友に中川迂呆がいる。昭和に入り、熊谷町立図書館の司書として勤務する傍ら、俳句の大衆化をはかり、後進指導のため、俳誌『星川』を発行し、雑詠選を田島一宿、課題句選を三沢刀泉、中川迂呆が行った。この他、漢詩、書家の大家として知られ、郷土俳壇史の研究も行った。
・熊谷寺を詠んだもの
「青東風や 椋の落ち葉は 降る如し」
「春雷や しきりに落つる 椋の花」
「緑蔭や 蝶現はれて 流れ去る」
「春雷や しきりに落つる 椋の花」
「緑蔭や 蝶現はれて 流れ去る」
・石上寺を詠んだ句
「石段を 上がれば花の 石上寺」
・星溪園を詠んだ句
「林泉の 晴れて明るし 百千鳥」
・石原地内を詠んだ句
「一台の 電車走れる 枯野かな」
・龍淵寺を詠んだ句
「花咲いて 日限不動の 御縁日」
「流れ来る 刈藻の中の 水葵」
「水尾曳いて 河骨遡る 如くなり」
「雪解や 大藁屋根の 龍淵寺」
・花火を詠んだ句
「讀賣の 唄ひ仰げる 花火かな」
・図書館句会
「図書館に 句会もありし 夜の秋」
「境内に 図書館ありて 十夜寺」
「境内に 菊花会あり 明治節」
「開館を 待つ読書子の 日向ぼこ」
関連情報
参考文献
- 1932年『星川』第20号 熊谷市立図書館
- 1982『熊谷人物事典』日下部朝一郎