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松本 旭(まつもとあさひ)(1918-2015)

俳人、俳句研究家、国文学者、作詞家。埼玉県大石村(現上尾市)出身。加藤楸邨、角川源義に師事して俳句を詠み、1978年俳句誌『橘』を創刊、主催する。「村上鬼城研究」で俳人協会評論賞受賞。連歌・近代俳句の研究家でもあった。埼玉文学賞の選考委員を務める。句集に『猿田彦』『蘭陵王』『天鼓』『長江』『卑弥呼』などがある。
また、上尾市、桶川市、川口市、戸田市、白岡市内の小中学校の校歌の作詞を行っている。
・歓喜院に建てられた句碑
俳誌『橘』138号にこの句を詠んだ経緯が記されている。
「久しぶりに妻沼町の聖天院を訪れる。境内にはさくらがあふれ咲いていて風がゆれる。多宝塔前の池には白れんの花びらが散り、それを分けるようにして家鴨が泳ぐ。利根川が北に近くて、明治末年の大洪水の際はここらも水が押し寄せ、一メートル以上にもなったとかで、山門の柱にその時の水位が記されている。堤も高くなった今は毛頭その心配がなく、平和に満ちた静かなたたずまい。拝殿前を過ぎ去って歓喜院へと向かう。
歓喜院本坊前も花は咲き満ちている。庭前の池の辺には雪柳がしだれ咲き、木瓜(ぼけ)の花枝が水面へと撓う(しなう)。院主さんは留守だったが、本坊に入れていただく。(中略)
歓喜院を辞去する時、大黒さんからこれにと揮毫帖を出されたので、次の句を記した。 花満つる時しも実盛像拝す 平成元年4月28日」 
「花満つる 時しも 実盛公像 拝す」


歓喜院の句碑