現在の位置:ホーム > 熊谷文学館 > 俳句・短歌 > 金子兜太

金子兜太(かねことうた)(1919-2018)

俳人。加藤楸邨(かとうしゅうそん)に師事、「寒雷」所属を経て「海程」を創刊、主宰。戦後の社会性俳句運動、前衛俳句運動において理論・実作両面で中心的な役割を果たし、その後も後進を育てつつ第一線で活動。上武大学教授、現代俳句協会会長などを歴任。現代俳句協会名誉会長、日本芸術院会員、文化功労者。小林一茶、種田山頭火(たねださんとうか)の研究家としても知られる。
・数々の困難を克服して日本公許女医第1号となった荻野吟子女史生誕の地俵瀬に流れる利根川には、冬になると寒冷な「赤城おろし」が吹き下ろす。こうした環境の中、利根川の広大な流れとともに吟子女史の生命が育まれ、人生の苦難を乗り越える原動力となったことを偲んで詠んだ句。
「荻野吟子の 生命とありぬ 冬の利根」


荻野吟子記念館前の金子兜太句碑(俵瀬)

・江南地域の豊かな里山にゆっくりと時間が流れており、水辺には夏の始まりを告げるホタルも飛び交い、野原地区には古くから知恵の象徴としての文珠寺があるとした江南の原風景を描写した句。
「行雲流水 蛍訪なう 文殊の地」


文殊寺の金子兜太句碑(野原)

・根岸家長屋門の前にある桜が咲き誇る季節に屋敷の高台から東を望むと、その春霞の先に姿を現す筑波山と、新たな時代へと踏み出した根岸友山を対比し、春のうららかな日和を感じる中で、屹立する友山の姿を表現した句。
「草莽の臣 友山に 春筑波峰」


根岸家長屋門前の金子兜太句碑(冑山)

・利根川と荒川の二つの大きな河川に挟まれている熊谷の特徴を描き、その狭間にてにて鳴り響く夏の雷を詠んだものです。二つの河川の存在がここに住む人々の感性や精神に大きな影響を与え、長い時を経ながら熊谷の原像を形成し、雷鳴の躍動感とともに、熊谷に息づく自然の景観と夏の風景を力強く表現した句。
「利根川と 荒川の間 雷遊ぶ」


熊谷中央公園の金子兜太句碑(宮町2丁目)

関連情報