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妻沼歓喜院境内にある、舟月斎碑(しゅうげっさいひ)を紹介します。 舟月斎は、市内奈良新田出身の江戸時代後期の修験僧で、挿花の正風遠州流を教え、順任と号していました。 この碑には、舟月斎の事績と造立の契機として、門人達により、舟月斎75歳の長寿の宴が開かれた際、それに招かれた寺門静軒が、碑を建立するにあたり撰文と書を請われ、慶応元年(1865)8月に造立したと刻まれています。 碑文の終わりには、寺門静軒の漢詩「一生風雅 従事胆瓶 楽以老焉 名与花聲」が刻まれています。読み下すと、「一生風雅 胆瓶に従事し 老いを以って楽しみ 花聲に名を与える」でしょうか。胆瓶(たんぺい)とは首の短い花瓶を指し、風雅を一生の友とし、挿花を楽しんでいた舟月斎のことを詠んだものです。 正風遠州流は、武将で茶人の小堀遠州(1579-1647)を流祖とする華道で、寛政年間に江戸と関東を中心に全国に広がりました。 この碑は、幕末期に、その流派を伝える人物が、奈良新田に存在していたことを示しています。
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