元境内遺跡3次調査(5/5ページ)
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25 第28号住居跡
墳礫(ふんれき)
竃の左側が下部からの噴出した粘質土によって白く乾燥しています。住居は、この粘土を切って構築されていることから、この噴出は、古墳時代(鬼高期)以前のもので、原因は地震によるものと推定されます。
1999年10月26日撮影


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26 墳礫平面確認状況
東より
6m×0.65mの楕円形に礫が噴出しています。
1999年11月22日撮影


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27 墳礫断面
下部の礫層より、礫がローム層を割って噴出しています。低地部分では、墳砂といって、砂が噴出する例があるのでですが、台地上では非常に珍しい例ですが礫が噴出することがあるようです。
1999年11月9日撮影


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28 調査区南側生姜保存トレンチ南壁墳礫セクション
調査終了後、調査区の北側で、生姜を保存するトレンチが掘られていたので調べたところ、墳礫が2箇所確認されました。ローム層を割って下部の礫層が噴出している様子が良くわかります。墳礫は、最上部の黒色土(耕作土層)によって途切れています。
1999年12月3日撮影

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所 見:今回の調査では、調査区内から1箇所、調査後北側の農地で2箇所の墳礫(ふんれき)と呼ばれるものが確認されました。当初、住居の竃脇の壁面が白く乾燥することから、粘土を壁面に貼ったのかと考え、最後にこの粘土を剥がそうとしましたが、どうも貼ったのではなさそうなので、試しに断ち割ってみたところ、下層の礫が噴出している状態が確認できました。
 低地部では、時々地震の痕跡として、墳砂と呼ばれる現象が確認されます。これは、地面が液状化し、下層の砂が地面の割れ目から噴出す現象です。今回見つかった墳礫は、砂の代わりに礫が噴出しています。砂ならなんとなく吹き出るのかなという思いもしますが、まさか礫までも噴出するとは、驚きです。台地上で稀に見られる現象だそうです。
 時期的なものは特定できませんが、住居の掘り込みが、この墳礫を切って掘り込まれていることから、6世紀以前の地震の痕跡と考えられるだけです。基本的には、人間の残した痕跡を調査するのが目的の発掘調査ですが、珍しい現象なのでここに紹介しました。