歓喜院聖天堂の彫刻「琴棋書画」とはどのようなものですか?
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聖天堂の拝殿、その正面には特徴的な彫刻がはめ込まれています。この彫刻の画題が「琴棋書画(きんきしょが)」と呼ばれているものです。この琴棋書画とは、中国古来の文人における必須の教養や風流事を意味する、「琴」、「囲碁」、「書」、「絵」の四芸のことであり、日本では室町時代以降における屏風絵や工芸品の図柄などのモチーフとして多く見ることができます。特に、海北友松や狩野探幽が描いた「琴棋書画図屏風」は著名で、東京国立博物館に所蔵されています。
聖天堂の琴棋書画の彫刻に目を向けると、左から「絵を見る子ども」、「碁を打つ人々」、「琴を弾く男」、「文字を読み書きする子ども」の順で配されており、彫られた人々の温和な表情が、見る人の心を和ませてくれます。平成における修理工事では、塗装が完全にはがれていた碁盤の部分を、中国の元の時代に由来する碁石配置を参考にして描き直すなど、きめ細やかな彩色の復元が行われました。
この琴棋書画の彫刻は、寺社建築の一部に置かれることはありますが、聖天堂のように、拝殿の正面という建築のシンボリックな場所に配置されることは、あまり例を見ません。聖天堂と同じ権現造りの日光東照宮の「御本社」においては、拝殿の正面に荘厳な彫刻が飾られているところから見ても、聖天堂の彫刻の配置が特徴的であることが分かります。つまり、龍などの威厳ある大きな彫刻ではなく、親しみやすい琴棋書画を用いたその彫刻は、聖天堂と庶民とのつながりの深さを示すものであると言えます。
琴棋書画