所在地 妻沼1420
所有者(管理者) 熊谷市
構 造 鉄筋コンクリート造
外 壁 正側面化粧タイル貼、背面モルタル塗
屋根形状 陸屋根、コンクリートスラブ
建築規模 216.72u(建築面積)
設計者 高杉藤次郎
施 工 高山組
昭和6年(1931)に産科医院として建てられた「坂田医院旧診療所」は、昭和50年年代前半まで使用されていました。その後、平成16年(2004)8月、鉄筋コンクリート造、平屋建て、外壁正面をスクラッチタイル貼りとする昭和初期の地方近代建築の貴重な遺構として、国登録有形文化財に指定されました。そして、平成17年(2005)8月に、建物が当時の妻沼町(現熊谷市)に寄附されました。
外壁のスクラッチタイルとは、表面を櫛引きして平行の溝を作り焼成したタイル様式のことであり、その模様から簾レンガとも呼ばれています。室内には、受付・調剤室、応接室、待合室、診察室、分娩室、手術室、レントゲン室などが残されており、主要な部屋を正面側(東側)に並べ、背面(西側)には外光が差し込む廊下を配置しています。
内部は、壁・天井ともに、鉱物質を原料としたプラスター仕上げで施工され、柱や天井の隅などに巡らした蛇腹と呼ばれる帯状の構造は、各部屋ともに意匠を凝らしています。床には楢材が、床と壁とのつなぎ目には松材が多用されています。天井には端正な形状を重視するアールデコ様式の照明器具が当時のまま残されています。
外壁の上部には、直線を基調とした歯形の凹凸装飾が見られ、玄関ポーチの両脇にはかつて幾何学的な石膏レリーフがはめ込まれていました。
現在、この建物は映画やドラマなどの撮影場所として使用されるなど、全国的な知名度を上げています。平成24年(2012)度には保存修理工事が実施されました。
指定年月日 平成16年8月17日 |