所在地 千代329
所有者(管理者) 熊谷市
時代 縄文後期・晩期
中西遺跡は、市内中西四丁目に所在し、新期荒川扇状地に立地する複合遺跡であり、これまでの調査により、縄文時代後期・晩期、弥生時代中期、古墳時代前期、奈良・平安時代の遺構や遺物が検出されている。縄文時代については、後期・晩期の竪穴建物跡、土坑、溝跡等の遺構ほか、多くの土器や石器、土製品等が遺物包含層から検出されている。
中でも土偶は、遺物包含層を中心に51個体と多数出土し、その時期は、後期中葉〜後葉が中心で、晩期前葉〜中葉のものも数点見られる。この他、土偶等の赤彩に用いたと考えられる辰砂(朱の原料となる水銀の鉱物)の小片22点やパレット状土器1点も出土している。
調査により、土偶をはじめとする出土遺物の特質性が顕著となり、特に土偶については、大量の点数が一括して出土するとともに、後期中葉の加曽利B式期と後期の安行式期との中間に位置する曽谷式期の土偶が34点と県内でも突出し、同時期の遺跡としては特異な傾向を示している。さらに、東北系の土偶が見られないことが特徴である。このように、出土遺物が熊谷市周辺地域のみならず、東日本の縄文時代研究を新たな段階へと進める可能性を提示していると評価できる。
指定年月日 令和4年3月31日
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