板井地区の鎮守、出雲乃伊波比神は、延喜式内社に数えられる由緒ある古い神社で、祭神は素戔鳴尊を祀っています。明治28年、現在の社名に改称されましたが、以前は鹿島神社と呼ばれていました。
この神社は、昔から麻疹や天然痘の平癒に大変霊験あらたかとして、大勢の人達が幼児を連れて参詣しました。 お詣りする時は、神社の前を流れる和田川に架かる八雲橋の西側南岸にある石段を降り、和田川に入り橋の下をくぐりながら小石を一、二個拾い、願いのことばを唱えます。
「八雲橋かけてぞたのめあらもかさ(ほうそう、天然痘) あかき心を神につくして」
橋をくぐって、川の北側の階段を上がり、神社側にある柳に半紙を折って結び、神社にはしか、はうそうの快癒、軽症を祈りました。拾った小石は巾着に入れて幼児の腰につけさせ、お守りとしました。
鹿島神社の橋くぐりは、戦前のころまで、地元はもとより近郷近在、遠くは浦和方面からも団体参詣者があり、露天商まで出た程の賑わいだったと伝えられています。
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