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中島家の不動様(板井)

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昔、板井の中島家の屋敷内にお不動様が祀られていましたが、ある事情があって中島家でこの不動様をお守りすることができなくなりました。その話を聞いた群馬県の富岡の人がこの不動様を譲り受け、持っていってしまいました。そのため板井ではお不動様のお祭りをすることができず長い年月が過ぎました。
ところが、大正五年のこの板井地区に恐ろしい疫病が蔓延し、村人が次から次へと死んでしまいました。そんなある日、この地区のおばあさんの夢枕に、お不動様が「家に帰りたい」と大変悲しんでいる姿で立ち、消えていったのだそうです。おばあさんはそのことを早速村の人達に話し、大勢の賛成を得て発起人となって祠をつくり、富岡までお不動様を迎えに行って、再びこの地区にお不動様が帰ってきたのだそうです。
こうしてお不動様は村人にねんごろに供養され、村人の悪疫退散の熱心な祈祷によって流行していた疫病も去り、再び村人は健康で幸せな日々を送れるようになったといいます。それ以来霊験あらたかなお不動様として、村人の信仰も一層厚くなり二八日には、中島家直属の人達がこのご神体を持って、各戸を回り、家々ではご馳走を作ってお不動様が来るのを待ち、家内安全、無病息災をお祈りしました。お供えしたおだんごやおまんじゅうをもらって食べると悪病除けになるとか、風邪をひかないといわれています。