『水辺での祭りごと 一本木前遺跡』 川の際の特定の場所で馬の骨を用いて行われる祭祀には、どのような意味があったのでしょうか。 平成10年、東別府の一本木前遺跡の河川の入江西岸最奥部に東西4m 、南北3.4mの方形の平坦面が造り出され、北東隅に設けられた方形の礫敷きに、馬の下顎がのり、周囲に土師器・須恵器を配した祭祀跡が検出されています。 土器群は、北東隅の須恵器甕を扇の要として、東辺が須恵器甕、北辺が土師器甕、要の対角(南西部)には須恵器・土師器の坏が併置されていました。坏は、すべて上向きで、単独のものと重ねられたものがみられました。坏の間からは、滑石製の模造品や土錘も出土しています。出土した土器から7 世紀後半の所産と思われます。 一本木前遺跡では、他にも旧河川に沿って馬を伴う祭祀跡が10 箇所発見されています。この遺跡における祭祀は、古墳時代中期から始められ、後期特に7 世紀代にピークを迎え、8世紀に入ると急速に衰退し、以後みられなくなります。
一本木前遺跡古墳時代祭祀跡 参考文献 2013年 「文化財コラム 古代との遭遇 第12話」『BUNKAZAI情報』第12号 熊谷市立江南文化財センター